
交通事故の過失相殺率認定基準本「別冊 判例タイムズ」があります。
最初のページに「訴訟提起前の準備」として
「被害者請求の有利性」とあり、自賠責保険の被害者請求の方が訴訟と比べて被害者に有利な取扱いを受けられる場合があるので、訴訟提起前に被害者請求を済ませておく方が望ましいと書かれています。
自賠責保険は、被害者側に7割以上の重大な過失がない限り、保険金を減額されることは
《クマゼミの棲み処》 ありません。「自賠法」により運用されている
対人保険制度だからです。
被害者側の過失証明責任は加害者側にあります。(根拠条文:自賠法3条)
一方、任意の対人保険は「民法」をもとに作られた賠償保険です。
「民法」の原則は過失責任主義。賠償範囲は加害者の過失部分のみです。
そのため、双方の過失割合に応じた減額があります。
こちらは、被害者側が加害者側の過失を証明しなければなりません。(根拠条文:民法709条)
行政書士の業務として「自賠責保険の被害者請求」の書類作成ができます。自賠責保険は加害者との
示談交渉が必要ないからです。示談交渉、訴訟となると弁護士の職域になります。
この「自賠責保険の被害者請求」の書類作成は非常に重要な部分だと考えます。
おそらく、ほとんどの交通事故被害者の方は、任意保険会社にお任せで解決に至っていると思います。
納得できる内容であれば、それで良いでしょう。
ただ、交通事故には後遺障害の残る被害者が多いのも事実です。
こういう場合、他人任せ(保険会社)の請求と自分自身でする請求はどちらが正しく自賠責保険へ
請求できるでしょう。
この書類作成の内容で、後遺障害等級認定に差異が生じることもあります。
煩雑な手続きになりますが、被害者自身で請求する方がいいように思います。
当事務所のお客さまで、交通事故の相手方保険会社が何もしてくれず、相談に来られた方がいらっしゃいます。
当然、「健康保険」を利用していただきました。相手方保険会社が、
自賠責保険に関して、まったくノータッチだったので、「自賠責保険被害者請求」(傷害、後遺障害等級認定請求)の書類を作成しました。
結果、後遺障害の12級の認定がでて、相応の補償を得ることができました。
最後に、過失割合についてです。
行政書士は、過失割合の交渉はできませんが、アドバイスをすることは可能です。
これまでの資料内容の確認と説明など、理解していただくことが重要だと思っています。
過失割合に関しては、「別冊判例タイムズ」を参考にするのが一般的です。
ただ、「別冊判例タイムズ」は交差点の事例がほとんどです。最近、3例ほどT字路の事例
が載るようになった程度です。
故に、「判例タイムズ」は完璧ではないと私は考えるので、被害者は、事故の状況を明確にして
(資料を集める)自分の主張を伝えるべきだと思います。
過失割合が納得できず、示談すべきかどうか迷ったら、第三者に判断を委ねる選択もあります。
相手方保険会社との交渉方法は2つあります。
1、交通事故紛争処理センターを利用する。
費用は無料。担当弁護士費用も当然無料。
コピー代、通信費用、ご自身の交通費等は負担必要
被害者自身が赴くことになる。3回程度で和解となることが多い。
※交通事故紛争処理センター 大阪支部(予約が必要です)
TEL:06-6227-0277
2、弁護士に依頼する。(当事務所でも弁護士を紹介いたします)。
交通事故の加害者、被害者、どちらにもなりたくありません。
今日も一日、こころにゆとりを持って運転しましょう。